湘南藤沢徳洲会病院・内視鏡内科の医師、永田充です。
2019年11月9日(土曜)、徳洲会消化器がん研究会に参加して来ました。
徳洲会消化器がん研究会は、徳洲会グループの病院の医師が消化器のがんに関する取り組みを発表する場で、年2回開催されています。
全国に散らばる徳洲会グループの病院から、多くの方が参加されます。
前回は大阪で開催され、今回は東京の丸の内オアゾの中にある会議室、フクラシアで開催されました。
丸の内オアゾは東京駅から近くて、とても便利な場所にあります。
東京駅の近くを歩くのは久しぶりだったため迷うかなと思ったのですが、ホームページの案内通りに歩いて行ったら、迷わず着くことが出来ました。
ホール内の配色がお洒落です。
徳洲会消化器がん研究会は、内視鏡治療、外科手術、化学療法、放射線治療、血管内治療など、消化器のがんに関する発表であれば、テーマは問われません。
通常、学会や研究会はテーマを固定して、その専門家が集まる形式が多いです。
そのため、徳洲会消化器がん研究会のような形式は比較的珍しいかもしれません。
私は内視鏡治療を専門としていますが、普段、聴くことが出来ないテーマの発表や、各施設の取り組みを聴くことができ、興味深かったです。
今回、私は胃がんに対するESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)に関する取り組みを発表して来ました。
専門的な話になってしまうのですが、少しだけ内容をご紹介します。
ESDは内視鏡から出した電気メスで病変を切除する内視鏡治療です。
外科手術の場合、一方の手で切除対象を把持して、もう一方の手に握ったメスで対象物を切除することが出来ます。切除対象が固定されているため、効率よく力を伝えることが出来ます。
ESDでは外科手術のように手で対象物を固定することが出来ないため、工夫をしないと効率よく切除対象に力を伝えることが出来ません。
この問題点を解決するために、色々な工夫があり、その中の一つにトラクション法というものがあります。
当科では、胃がんのESDを行う際、”S-Oクリップ”という処置具を用いたトラクション法を取り入れています。
S-Oクリップを用いたトラクション法を導入することで、治療時間が短くなり患者様への負担が少なくなるのと同時に、穿孔(消化管の壁に穴があくこと)などのリスクも低下するものと考えております。
なお、S-Oクリップは元々、大腸がんのESDを行う際の処置具として開発されたため、胃がんのESDで用いる際は、取り扱い上の工夫が必要になります。
当科では胃がんのESDを行う際のS-Oクリップ使用上の工夫を、2019年4月にアメリカ消化器内視鏡学会の公式ジャーナルの一つ、VideoGIEという雑誌から論文として発表しています。
ご興味のある方は、ご覧下さい。
VideoGIEの公式チャンネルに、論文に添付した動画がアップされています。
今回の徳洲会消化器がん研究会では、この論文の内容をさらに発展させた内容を、具体的なデータを提示しながら発表することが出来ました。
発表の後には研究に対するアドバイスなどを頂戴することができたため、今後に生かしていきたいと思います。
コメントを投稿するにはログインしてください。