Gastrointestinal Endoscopy (GIE)は米国消化器内視鏡学会(ASGE)の学術誌であり、影響力のある消化器内視鏡専門誌です。
Impact Factor: 7.229 (2018年)
※Impact Factorとは、学術誌の影響度、引用された頻度を測る指標です。
今回、胃腫瘍のESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)に関する当科の原著論文が、GIEにアクセプトされました。
論文の概要
誌名:Gastrointestinal Endoscopy (GIE) 2021 Vol93(5), 1097-1109
筆頭著者:Nagata M (永田充)
ESDは胃カメラや大腸カメラから出した電気メスで、癌などを切除する手技です。
ミリ単位の精密な操作が求められるため難易度が高く、長い時間がかかったり、穿孔(胃や腸の壁に穴があくこと)などの合併症のリスクが高いとされています。
ESDの手技を簡単にするために、S-Oクリップと呼ばれる処置具が開発されています。
しかし、S-Oクリップは、大腸ESD用に開発されたものであり、胃ESDでの有効性は明らかではありませんでした。
今回の研究では、以下の2つの方法をランダム化比較試験で分析しました。
- 従来の胃ESDの方法
- S-Oクリップを使用した新しい胃ESDの方法
結果、胃ESD施行時間 は、S-Oクリップを使用した群で統計学的に有意に短縮しました。
- 従来の方法:52.6分
- S-Oクリップを使用した方法:29.1分
今回の論文の意義
胃ESDは難易度が高いため、内視鏡治療としては長い時間が必要であり、穿孔などのリスクが高い手技です。
S-Oクリップを用いると胃ESDの施行時間が短くなる可能性が高くなるため、患者様への負担を軽減することが出来ます。
また、時間が短縮するということは、胃ESDの難易度が下がることを意味しています。
そのため、穿孔などの合併症の予防の観点から有用な方法と考えております。
下記のボタンから論文のPDFを無料でダウンロードすることが出来ます(著作権の一部を取得済みです)。
ESDの詳細については、以下の記事をご参照ください。
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