Gastrointestinal Endoscopy (GIE)は米国消化器内視鏡学会(ASGE)の学術誌であり、影響力のある消化器内視鏡専門誌です。

Impact Factor: 7.229 (2018年) 

※Impact Factorとは、学術誌の影響度、引用された頻度を測る指標です。

今回、胃腫瘍のESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)に関する当科の原著論文が、GIEにアクセプトされました。

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論文の概要

ESDは胃カメラや大腸カメラから出した電気メスで、癌などを切除する手技です。

ミリ単位の精密な操作が求められるため難易度が高く、長い時間がかかったり、穿孔(胃や腸の壁に穴があくこと)などの合併症のリスクが高いとされています。

ESDの手技を簡単にするために、S-Oクリップと呼ばれる処置具が開発されています。

しかし、S-Oクリップは、大腸ESD用に開発されたものであり、胃ESDでの有効性は明らかではありませんでした。

S-Oクリップ

今回の研究では、以下の2つの方法をランダム化比較試験で分析しました。

  • 従来の胃ESDの方法
  • S-Oクリップを使用した新しい胃ESDの方法

結果、胃ESD施行時間 は、S-Oクリップを使用した群で統計学的に有意に短縮しました。

研究の結果(胃ESD施行時間の中央値)
  • 従来の方法:52.6分
  • S-Oクリップを使用した方法:29.1分

今回の論文の意義

S-Oクリップを用いると、切除したい部位に適切な張力が働き、切除しやすくなります。また、術野が見えやすくなるため、安全性も上がります。

胃ESDは難易度が高いため、内視鏡治療としては長い時間が必要であり、穿孔などのリスクが高い手技です。

S-Oクリップを用いると胃ESDの施行時間が短くなる可能性が高くなるため、患者様への負担を軽減することが出来ます。

また、時間が短縮するということは、胃ESDの難易度が下がることを意味しています。

そのため、穿孔などの合併症の予防の観点から有用な方法と考えております。

下記のボタンから論文のPDFを無料でダウンロードすることが出来ます(著作権の一部を取得済みです)。

ESDの詳細については、以下の記事をご参照ください。

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