国際医学誌 World Journal of Gastrointestinal Endoscopy(WJGE)に、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)におけるトラクション法(牽引法)に関するコメンタリー論文が掲載されました。
本稿では、食道、胃、大腸のそれぞれの臓器において、トラクション法に関する重要な研究結果をもとに、現在の位置づけや今後の展望について述べています。
いずれの論文も無料で閲覧でき、PDFのダウンロードも可能です。以下に、それぞれの論文の概要とタイトルをまとめます。
👉ESDに関する基本事項については、こちらの記事をご参照ください。
食道ESD
食道ESDでは、糸付きクリップ法やトンネル法が有用と考えられます。食道は、ESDにおけるトラクション法の有効性が比較的確立されている臓器の一つと言えるかもしれません。
Mitsuru Nagata.
Two traction methods that can facilitate esophageal endoscopic submucosal dissection.
World Journal of Gastrointestinal Endoscopy 2023; 15(4): 259-264.
胃ESD
胃ESDでは、病変の部位によって、糸付きクリップ法のように牽引方向が限定される方法では十分な効果が得られない場合があります。そのような症例では、S-Oクリップなど、牽引方向を調整できるデバイスが有用となる可能性があります。
Mitsuru Nagata.
Optimal traction direction in traction-assisted gastric endoscopic submucosal dissection.
World Journal of Gastrointestinal Endoscopy 2022; 14(11): 667-671.
大腸ESD
大腸ESDでは、内視鏡操作が難しいことや、腸管の屈曲などにより病変へアプローチしにくいことがあります。これらの課題は、トラクション法だけでは十分に克服できない場合があり、症例に応じたさらなる工夫が必要です。
近年では、難しい症例に対する選択肢として、浸水下で行うUnderwater ESDの有用性に関する報告も増えてきています。
Mitsuru Nagata.
Device-assisted traction methods in colorectal endoscopic submucosal dissection and options for difficult cases.
World Journal of Gastrointestinal Endoscopy 2023; 15(4): 265-272.
▶この記事を書いた人
永田充(消化器内視鏡専門医/湘南藤沢徳洲会病院 内視鏡内科 部長)
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