
大腸ポリープの治療の説明の際、
- 「EMRとESD、どっちがいいのですか?」
- 「入院が必要ですか?」
- 「安全性は大丈夫ですか?」
といったご質問をいただくことがあります。
大腸ポリープの代表的な内視鏡治療法として、
- EMR(内視鏡的粘膜切除術)
- ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)
があります。
どちらも大腸カメラを利用して大腸ポリープを切除する治療法ですが、
適応や特徴には違いがあります。
この記事では、専門医の立場から
EMRとESDの違いと選び方をわかりやすく解説します。
そもそも大腸ポリープとは?

大腸ポリープとは、大腸粘膜から突出しているものを総称した言葉で、
簡単に言うと、大腸の粘膜にできる「できもの」です。
これには、
- 既にがんになっているもの
- 将来的にがんになる可能性があるもの
が含まれます。
このような大腸ポリープは、切除が望まれます。
治療法の選択肢としては、
- 外科手術
- 内視鏡治療(EMR、ESD)
がありますが、
内視鏡治療で治る可能性がある場合は、まず内視鏡治療が行われるのが一般的です。
EMRとESDの違い(まずは全体像)
まずはイメージをつかんでみてください。
EMR(内視鏡的粘膜切除術)

- ポリープの下に生理食塩水などを注入し、スネア(輪っか)で切除する
- 比較的シンプルな方法
ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)
- 内視鏡先端から出した電気メスで、周囲を切開し、粘膜の下の組織(粘膜下層)をはがしながら切除
- より精密で高度な方法
👇ESDの基本についてはこちらの記事で詳しく解説
EMRの特徴(メリット・デメリット)
✔ メリット
- 手技が比較的シンプル
- 治療時間が短い
- 体への負担が少ない
- 日帰りで出来る(病変の大きさ、施設の方針などによっては入院が必要)
✔ デメリット
- 大きい病変は一括切除が難しい
- 分割切除になると病理診断が難しくなる可能性がある
ESDの特徴(メリット・デメリット)
ESDの手順




Figures adapted from: Nagata M. Endoscopy 2024; 56: E699–E700.
Licensed under CC BY 4.0 (https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/)
✔ メリット
- 大きな病変でも一括切除が可能
- 正確な病理診断ができる
- 再発率が低い
✔ デメリット
- 手技が高度で時間がかかる
- 出血や穿孔のリスクが比較的高い
- 基本的に入院が必要
どっちがいいの?治療法の選び方
結論から言うと、
「どちらが優れているか」ではなく
「病変に応じて使い分ける」ことが重要です。
EMRが向いているケース
- 小さいポリープ(一括切除が比較的容易)
- 良性の可能性が高いポリープ
※一般的には20mm程度までの病変でよく選択されます
ESDが向いているケース
- 大きいポリープ(20 mm以上が目安、EMRでは一括切除が比較的難しい)
- がんの可能性がある
- 一括切除が必要
特に
一括切除
は「がんを確実に治す」「正確に病理診断する」ために重要なポイントです。
安全性は大丈夫?
多くの方が気になるポイントですが、
どちらも適切に行えば安全性の高い治療です。
ただし、
- 出血
- 穿孔(腸に穴があくこと)
といったリスクはゼロではありません。
ESDは高度な手技ですが、特に大腸ESDは大腸カメラの操作が難しいこともあり、難易度が高いとされています。
そのため、経験豊富な施設・術者による治療が望ましいです。
最近の進歩:ESDはさらに進化しています
近年では、ESDにもさまざまな工夫が加えられています。
例えば、
Underwater ESD(浸水下ESD)
と呼ばれる方法では、浸水環境を利用することで
- 従来の方法では難しいケースでも対応しやすくなる
- 治療の時間短縮
- 安全性の向上
などが期待されています。
👇Underwater ESDについてはこちらの記事で詳しく解説
まとめ
大腸ポリープの内視鏡治療は、
- EMR:シンプルで負担が少ない
- ESD:精密で確実性が高い、基本的に入院が必要
という特徴があります。
そして最も大切なのは、
「どちらが良いか」ではなく
「その病変に最適な方法を選ぶこと」
ということです。
最適な方法は、
- 病変の大きさ
- がんの可能性の有無
などによって変わります。
不安な場合は、主治医に「なぜその方法を選ぶのか」を確認されると良いでしょう。
納得して治療を受けることが、何より大切です。

とは?2026年アップデート.jpg)

コメントを投稿するにはログインしてください。