大腸カメラ(大腸内視鏡)

大腸カメラ(大腸内視鏡)は、肛門からカメラを入れて、大腸の中を観察する検査です。

大腸カメラを受けることで、大腸がん、大腸ポリープ、腸炎といった病気の有無を調べることが出来ます。

「大腸カメラは痛い」というイメージが強く、受けるのをためらわれている患者様は多いと思います。

しかし、大腸がんの患者様が増えていることもあり、大腸カメラの重要性は増してきています。

この記事では、専門医の立場から、大腸カメラについて詳しく解説していきます。

大腸カメラは、大腸がんによる死亡を防ぎます

大腸がんの患者様が増えて来ていることはご存じでしょうか。

2018年においては、大腸がんによる死亡数は、女性で第1位、男性で第3位となっております。

今後も大腸がんの患者様は増えていくことが予想されておりますが、どのように対処するべきでしょうか。

実は、大腸カメラは、大腸がんによる死亡を減らすという研究データがあります。

大腸カメラで腺腫(大腸ポリープの一種)を全て切除することにより、大腸がんによる死亡率の53%低下が示唆された。

New England Journal of Medicine 2012

このことから、大腸がんによる死亡を防ぐために、大腸カメラを受けることが重要と言えます。

以下の記事で、大腸がんの情報についてまとめてあります。

このような症状がある場合、大腸カメラをお勧めします

大腸カメラを受けることで、大腸がんだけではなく、大腸ポリープ、腸炎、憩室(けいしつ)など、色々な病気を診断することが出来ます。

以下のような症状・所見がある場合は、大腸カメラを受けることをお勧めします。

症状・所見考えられる病気
血便大腸がん、腸炎、憩室出血など
下痢腸炎、過敏性腸症候群など
腹痛腸炎、憩室炎など
便が細い進行した大腸がんなど
便潜血検査で陽性大腸ポリープ、大腸がん、痔など

他にも、大腸カメラを受けた方が良い症状は沢山ありますので、気になる症状がある場合は、医療機関を受診し、医師にご相談下さい。

大腸カメラで分かること、出来ること

大腸は、下のイラストのように、直腸、S状結腸、下行結腸、横行結腸、上行結腸、盲腸に分かれます。大腸カメラを盲腸まで入れ、抜きながら観察するのが基本です。

大腸は部位によって名前がついており、細かく分類されます。

観察の途中で、大腸ポリープがあれば、切除することも可能です。ポリープが大きい場合は、入院して行った方が良い場合もありますが、ほとんどの大腸ポリープは日帰りで切除出来ます。また、大腸がんが疑われる場合などは、生検(組織の採取)を行い、顕微鏡での分析(病理検査)に回すことも出来ます。

大腸ポリープの切除について詳しい説明をご希望の方は、以下の記事をご参照下さい。

小さな大腸ポリープは、日帰りで切除することが出来ます。

注意すべき点は、大腸カメラは大腸の内側の状態は分かりますが、その外を見ることは出来ないということです。大腸の外側には、胃、十二指腸、肝臓、胆のう、膵臓、膀胱、尿管など、色々な臓器があり、これらの臓器の異常は、大腸カメラでは診断することは出来ません。

大腸カメラは大腸の内側を見ることが出来ますが、外側は見ることが出来ません。

そのため、大腸カメラで異常がないのに、おなかに症状がある場合は、大腸の外側を見ることが出来る検査が必要です。例えば、腹部エコー、CTなどがあります。

以下の記事で、腹部エコー、CTの重要性について解説しています。

大腸カメラとバリウム(注腸検査)の違い

バリウム検査は胃の検査として有名ですが、大腸の検査としても行われており、注腸検査と呼ばれています。

注腸検査は、バリウムの溜まり具合で、病変の有無を推測することが出来る検査です。

盛り上がった病変は、バリウムをはじいて写ります。

凹んだ病変は、バリウムが凹んだところに溜まって見えます。

注腸検査は、バリウムの溜まり具合で、病変の有無を推測することが出来ますが、平べったい病変は苦手です。

注腸検査の欠点として、平べったい病変は、バリウムのはじきや溜まりが出来ないため、見落されやすいことがあります。一方、大腸カメラは大腸の粘膜を詳細に観察することが出来るため、平べったい病変でも発見することが出来ます。

また、注腸検査では生検(組織を採取して顕微鏡で確認する検査)やポリープの切除などの処置が出来ないため、異常があると判定された場合は大腸カメラが必要になる場合が多いです。

以上のことから、注腸検査よりも大腸カメラがお勧めです。

苦痛が少ない大腸カメラのために必要なこと

大腸カメラは痛いというイメージが強く、受けるのをためらわれている患者様は多いのではないでしょうか。

大腸カメラにおける痛みの原因は、主に以下の2つです。

大腸カメラにおける痛みの原因<gwmw style="display:none;"><gwmw style="display:none;">
  • 大腸カメラの挿入により、腸管が伸びる
  • 検査中に入れたガスにより、大腸がパンパンになり、おなかが張る

これらを改善する方法として、腸管を伸ばさないような大腸カメラの挿入法、おなかの張りを和らげる炭酸ガスの使用が挙げられます。また、鎮静剤、鎮痛剤を使用することで、苦痛が軽減し、大腸カメラを楽に受けることが出来ます。

以下の記事に詳しく解説してありますので、よろしければ、ご覧になって下さい。

費用について

 1割負担3割負担
大腸カメラ約2500円約7500円
大腸カメラ+生検約4000円約13000円
大腸カメラ+ポリープ切除約8500円約25000円

目安としてお考え下さい。詳しくは受診する病院、クリニックでご確認下さい。

ポリープ切除は手術給付金の対象になります。加入している医療保険をご確認下さい。

まとめ

大腸がんの死亡数は増えていますが、大腸カメラを受けることで大腸がんによる死亡を防ぐことが出来ます。大腸カメラの問題は、検査中のおなかの痛みですが、この記事でも述べたように痛みを和らげるための対策はあります。ホームページなどで公開している病院、クリニックは増えているため、気になる方は確認されると良いでしょう。