7月14日(日曜)、ベルサール半蔵門(東京)で開催されたEMR/ESD研究会に参加して来ました。

年1回開催されており、今回で第19回目の歴史ある全国規模の研究会です。

ベルサール半蔵門

今回は大きく分けて以下の3つのセッションに分かれていました。

・咽頭・食道における内視鏡治療

・胃・十二指腸における内視鏡治療

・大腸における内視鏡治療

私は内視鏡治療に関して何個か研究テーマを持っているのですが、演題の応募期間に

・胃腫瘍(胃がん、胃腺腫など)の内視鏡治療

・十二指腸腫瘍(十二指腸がん、十二指腸腺腫など)の内視鏡治療

の研究がある程度まとまったため、2演題応募しました。

幸いどちらも採用していただき、今回は胃・十二指腸のセッションで2つの演題を発表しました。

準備は大変でしたが、全国規模の学会で発表させていただける機会は貴重です。

自宅で最後のプレゼンの予行演習をし、出発です。

会場は結構広いのですが、到着時にはすでにほぼ満員でした。

1つ目は十二指腸腫瘍のESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)を浸水下で行う、Underwater ESDの発表です。

十二指腸ESDは食道、胃、大腸のESDに比較し、穿孔(消化管壁に穴があくこと)が起こりやすく、一番難易度が高いとされています。

従来は送気して十二指腸を膨らませて行われてきましたが、今回は浸水下で行うことで得られるメリット、デメリットについて動画などを提示し、説明して来ました。

まだ、報告例は当施設を含めてもほとんどありませんが、十二指腸腫瘍の内視鏡治療においては特に有用と考えています。

十二指腸腫瘍の浸水下ESD(Underwater ESD)の
イメージ

2つ目は浸水下の内視鏡治療とは別に取り組んでいるテーマの一つ、トラクション法に関する発表です。トラクション (traction)は「牽引(引っぱること)」という意味です。

ESDは、消化管の中に胃カメラや大腸カメラを入れて、カメラの先から出した電気メスで病変を切除する治療法です。

消化管の中に手を入れることは出来ないため、おなかを切る外科手術と違い、左手で病変を固定して右手で切るといった動作が出来ません。左手を使わず、右手だけで病変を切るというイメージになります。

そのため、病変に力が伝わりにくい、病変を動かして確認したい場所がよく見えないといったようなことが起こり得ます。

日常で言えば、はさみでテープを切る際、右利きの人は左手でテープをおさえて右手ではさみを持って切りますよね。左手を使わず切るとなると、かなり切りにくくなるのは容易に想像していただけるのではないかと思います。

トラクション法は、左手に相当するものを、機材でカバーするという方法です。

S-Oクリップという機材を使うと、思った方向に牽引をかけることが出来ます。

S-Oクリップ

胃では胃カメラを反転させた際に機材と引っかかったりしてうまく使えないという懸念もあります。

S-Oクリップを使用した胃ESDのイメージ
(胃カメラ反転時)

しかし、取り付け方を工夫することで内視鏡を反転させた際も使えます。

この取り付け方の工夫は今年、VideoGIEというアメリカ消化器内視鏡学会誌から

Modified attachment method using an S–O clip for gastric endoscopic submucosal dissection

という題名で、英文で報告しています。

フリーでアクセスできるようになっているため、良かったらご覧ください。

まとめの動画はYou Tubeからもアクセス出来ます。

今回のEMR/ESD研究会での発表では、VideoGIEの動画に細かい点も追加して提示させていただきました。

会場の先生方から質問をいただき、自分としても新しい課題が見つかりました。

現在、S-Oクリップを使用することで、使用しない方法とどのような違いが出るか、データをまとめて論文として投稿中です。

今後、さらに内容を深めて、胃ESDにおけるS-Oクリップの有用性について発表していきたいと思います。

おすすめの記事