湘南藤沢徳洲会病院・内視鏡内科の医師、永田充です。

大腸カメラは大腸を観察する検査ですが、実は小腸も観察することが出来ます。

しかし、小腸の全てを観察することは出来ません。

小腸は非常に長い臓器で、通常の大腸カメラでは長さが足りなくなるからです。

小腸とは

小腸のことをご存じでしょうか。

小腸は数メートルの長い臓器で、胃と盲腸(大腸の一部)の間にあります。

おなかの中の臓器

小腸は十二指腸、空腸、回腸から構成されます。

十二指腸は胃カメラで観察することが出来ます。

大腸は大腸カメラで観察することが出来ます。

しかし、空腸、回腸には胃カメラ、大腸カメラが届かないため、空腸と回腸を観察をするためには、特殊なカメラが必要になります。

そのため、小腸は暗黒大陸と呼ばれることさえあります。

幸い、小腸に腫瘍(がん、腺腫など)が発生するのは非常に稀とされています。

しかし、小腸に腫瘍が発生した場合、胃カメラ、大腸カメラは届かないことが多いため、発見することは困難です。

そのため、病態が進行し、下血や貧血などの症状が起きるまで発見されない場合が多いです。

大腸カメラで観察できる部位

大腸カメラでは、どの部位を観察することが出来るのでしょうか。

口から入った食べ物は、

口→食道→胃→小腸(十二指腸→空腸→回腸)→大腸(盲腸→上行結腸→横行結腸→下行結腸→S状結腸→直腸)→肛門

という順に通っていき、最終的に肛門から便として排出されます。

大腸カメラは、この食事の通り道を逆に進んでいきます。

肛門から大腸に入り、大腸の中を観察したり、ポリープを切除したりすることが出来ます。

さらに、大腸内から回腸に入り、回腸を観察することも可能です。

ただし、回腸は長いため、通常の大腸カメラで観察できるのは、回腸のうちで大腸に続く最後の部分だけです。

この大腸に続く回腸の最後の部分は、“回腸末端”と呼ばれます。

回腸末端を観察することの意義

回腸に病気が発生するのは比較的、稀とされています。

回腸に腫瘍(腺腫、がんなど)が発生することは、さらに稀です。

しかし、病気が発生しないわけではないため、大腸カメラの際、カメラが届く”回腸末端”まで出来る限り観察した方が良いと考えています。

見なければ、その場所に異常があっても気づくことは出来ません。

実際、大腸カメラの際に”回腸末端”を観察することで、病気を早期発見、早期治療に結び付けることが出来た症例を経験することがあります。

その中の1例を日本消化器内視鏡学会の機関誌(2019年7月号)から論文として報告しました。

・EMR にて切除し得たⅡa +Ⅱc 様回腸腺腫(動画付き)

大腸カメラで回腸末端を観察した際に、23 mmと比較的大きな腺腫を発見し、EMR(内視鏡的粘膜切除術)で完全切除に成功したという内容です。

Ⅱa +Ⅱc様というのは腫瘍の肉眼形態を表す専門用語で、この肉眼形態を呈する回腸腺腫は今回の報告が初めてということです。

まとめ

・大腸カメラでは、大腸だけではなく、小腸の一部(回腸末端)も観察可能です。

・”回腸末端”にも稀ながら腫瘍(がん、腺腫など)が発生することがあります。

・腫瘍を早期発見出来れば、EMRなどの内視鏡治療により、おなかを切らずに治すことが可能になります。

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