2019年9月10日、湘南薬剤師連携カンファランスで、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)に関する講演をしてきました。
ESDは、胃カメラまたは大腸カメラから出した電気メスで、粘膜の下の組織(粘膜下層)を剥がして、癌(がん)あるいは将来的に癌になる可能性がある良性腫瘍や、ポリープなどを切除する新しい内視鏡治療法です。
今回は薬剤師の先生方にお集まりいただきました。

辻堂駅そばのココテラス湘南で開催されました。
今回の講演の内容
今回の講演では、ESDに関する基礎的な情報について、話をさせていただきました。
ESDは、開発されたのが2000年ころなので、まだ比較的新しい治療法と言えるでしょう。
そのため、内視鏡を専門にされていない他の科の先生方、医師以外の職種の方には、ESDに関する細かいことは、まだ十分に知られていないような印象を受けることがあります。
今回のような講演会で、医師以外の職種の方にESDに関する話を聞いていただくことは、非常に有意義なことだと思います。
ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)とは
ESDは、食道・胃・十二指腸・大腸癌(がん)などを内視鏡で切除する治療法です。
ここで言う内視鏡とは、腹腔鏡ではなく、胃カメラや大腸カメラのことです。
癌の切除というと、外科手術(おなかを切る手術)というイメージをお持ちの方も多いと思います。
ESDでは、胃カメラや大腸カメラから出した電気メスで癌を切除するため、おなかを切らなくても、癌を切除することが出来ます。
ESDは国立がんセンター、佐久総合病院、岸和田徳洲会病院、虎の門病院、自治医科大学を中心として、2000年ころから徐々に全国に広まってきました。
私が医師になったのは2006年です。その頃、ESDはまだ一般的な治療法ではなく、内視鏡治療に先進的な取り組みをしている病院以外では、ESDは行われていませんでした。
私が研修医の頃、ESDはとにかく難しい治療法という話を聞いておりました。
特に、他の内視鏡治療に比べて、穿孔(せんこう:胃腸の壁に穴があくこと)が起こりやすく、危険な治療というイメージもありました。
しかし、外科手術と違い、おなかを切らなくても良いですし、臓器が温存されるため、患者様への体の負担の軽い治療法であることは理解しておりました。
その後、新しい処置具の開発、エキスパートの医師によるライブデモンストレーションなどを通じて、穿孔などへの対策などが周知されてきました。
現在では、ESDは食道・胃・大腸がんの標準的な治療法として確立しています。
ただ、ESDは現在でも、技術的に難易度が高い治療法です。
ESDは、内視鏡治療の中では時間がかかりやすい、穿孔(せんこう:胃腸の壁に穴があくこと)が起こる可能性が比較的高いなどのリスクがあることに変わりはありません。
今後も機会があれば、講演会などでESDの有用性を知っていただけるような発表していきたいと考えております。
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