World Journal of Gastrointestinal Endoscopy (WJGE)に、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)のトラクション(牽引)法に関する論文が3本掲載されました。
食道、胃、大腸のそれぞれの臓器において、トラクション法に関する重要な研究の結果から考えられることや、今後の展望などについて述べさせていただきました。いずれも無料で閲覧、PDFのダウンロードが可能です。それぞれの論文に関するコメント、論文タイトルなどを以下にまとめます。
食道ESD
食道ESDでは、糸付きクリップとトンネル法が有効です。現状では、食道はトラクション法の有効性が一番確立された臓器ではないでしょうか。
胃ESD
胃ESDでは、病変の部位によっては、糸付きクリップなどのトラクションの方向が限定されるデバイスは有効ではない可能性がありますが、そのような場合はS-Oクリップなどのトラクションの方向をコントロールできるデバイスが有効かもしれません。
大腸ESD
大腸ESDでは、内視鏡の操作が難しい、腸管の屈曲などにより病変にアプローチしにくい場合があるといった問題があります。これらの問題はトラクション法だけで克服するのは困難なため、さらなる工夫が必要です。難しい症例においては、浸水下で行う方法(Underwater ESD)の有用性に関する報告が少しずつ増えてきています。