胃癌の内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)におけるトラクション法に関する論文を、Digestive Diseases and Sciences (Impact Factor 3.487)から報告しました。
論文タイトル: Impact of Traction Direction in Traction‑Assisted Gastric Endoscopic Submucosal Dissection (with Videos)
掲載誌:Digestive Diseases and Sciences
形式:原著
DOI: https://doi.org/10.1007/s10620-023-07870-z
筆頭著者:Mitsuru Nagata (永田充)
胃壁に垂直なトラクション(牽引)が胃ESDでは有効
ESDは外科手術と違い、手を胃や腸の中に入れて病変を持ち上げたり、引っ張ったりすることが出来ないため難易度が高く、治療にかかる時間が長い、穿孔(せんこう:胃や腸の壁に穴があくこと)などの合併症のリスクが高いといった問題が指摘されています。
ESDの手技上の工夫としてトラクション(牽引)法があります。トラクション法はESDにおいて手のような役割を果たすことが出来るため、安全性の向上や、治療にかかる時間を短縮する効果が期待できます。しかし、どのような方向に牽引するのが良いのかについては、まだ十分に分かっていません。
今回の研究では、胃癌のESDにおける最適な牽引方向について検討しました。結果、胃癌のESDでは胃壁に垂直な牽引方向が効果的である可能性が示唆されました。
今のところ、牽引方向を自由にコントロールすることが出来る処置具は限られていますが、今回の研究で使用したS-Oクリップ(ゼオンメディカル)というトラクション法のための処置具は、牽引の方向をコントロールすることが出来ます。もちろん、胃壁に垂直な方向にコントロールすることも可能なため、胃癌のESDにおいて有効です。
論文の内容や動画(2本)は、以下のウェブページ上でご覧いただくことが出来ます(無料)。
https://doi.org/10.1007/s10620-023-07870-z
また、論文のPDFは、以下のリンク先から無料でダウンロード可能です(著作権取得済み)。
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